1人目の方は、週に2~3度、いつも元気にお店に来て下さる女性です。お店に来ると挨拶の声の大きさで、すぐにその方と分かります。
ある時、いつもの声はなく元気がなくなっているように見えたその女性が、暑い中を長袖でご来店されたので、「その格好で暑くないですか?」と聞きました。
すると、「私、今病気の治療中で紫外線がダメなの、でもお宅のパンが食べたいからこんな格好で来るのよ」とにっこり笑って教えて下さいました。
それ以降、ご来店の際は「お身体の調子はどうですか?」と声をかけていました。
そんな日がしばらく続いたある日、「私はあなたのパンが好きなの、美味しいパンを食べると元気になれるの、私のような人は他にもきっといるからあなたはこれからも美味しいパンを作り続けてね」と言って下さいました。
その時の言葉はとても嬉しかっただけでなく、この仕事の大きな活力になった事は間違いありません。しかし、その言葉がその女性との最後の会話になってしまいました。
この話は、一組の夫婦のお話ではなく、別々のお客様のお話です。それぞれ、ぷちらぱんのパンが関わる元気の支えと家族の絆の物語です。
そして、当時の私は自分のパンを通してここまでお客様にとって大切な物語がある事をしりませんでした。この話を知ってからは、
購入されたパンの先にはだれでも同じような風景といつもの生活があるだけでなく、
ひとつひとつを、時間や思い出と一緒に過ごして食べて下さるお客様が大勢いる事を今まで以上に強く感じるようになりました。
また、25年以上もやってると3世代にわたるお客様も多数いらっしゃって嬉しい限りです。
みなさんの生活の中でどんな時にも近くにあって、そっと寄り添い、長く召し上がっていただける、
そんなパンとしてぷちらぱんのパンをお買い求め頂けたら、パン職人としてはこれ以上幸せな事はないと思っています。
想いを込めたパン作り、変わらない製法のパン作り、そして新しいパン作り、これら全て、
今までのそしてこれからのお客様へのおもてなしと考え、皆様のご来店をお待ち致しております。